料理人から「緑を守る仕事に」 県で1番の養蜂家へ
2025年6月3週号
福井県小浜市・下石 達朗さん
「ミツバチを育てることは、緑を守ることに繋がる素敵な仕事」と話すのは小浜市加茂の 下石 達朗(しもいしたつろう)さん(39)。セイヨウミツバチ80箱を養蜂する「HAOTO」を経営している。
下石さんは、元々名古屋の飲食店で料理人として働いていたが、コロナ禍をきっかけに、人生を見直して自分でできる仕事がしたいと考えるようになり、脱サラ。次の仕事をインターネットで検索していた時に養蜂を知り、そこに書かれていた「緑を守る仕事」という言葉に惹かれ、自然の中で家族と共に生きていける養蜂家になることを決意した。
養蜂を全く知らなかったため、一から自分で調べ、三重県の養蜂家の下で数ヵ月間修行した。「結婚前に奥さんと旅行で小浜市の宮川地区のヒマワリ畑を見に行ったことがあった。養蜂をやろうと決めた時に、その風景を思い出し、小浜市で養蜂がしたいと思った。幸い周辺に養蜂場がなく、養蜂を始める条件にぴったりだった。蜜源も豊富で全ての条件が揃い、まさに運命の場所だった」と話す。2022年に妻と2人の子供と共に小浜市へ移住し、養蜂家となった。
セイヨウバチを飼育、蜂蜜の収穫は5月と6月の年2回程度。春ごろから7月ごろまで1週間に1度、巣箱の点検を行い、ダニが発生していないか、女王バチが増えていないかなど蜂の巣の状態を確認する。
蜂蜜は巣箱ごとに風味や香りが違い、どれも優しい甘さで芳醇な味わい。個人販売がメインで、周辺地域の飲食店などにも販売する。
「まだまだ小さな養蜂場だが、巣箱をさらに増やし、販路も徐々に拡大したい。地域の学校や県内外にPRしながら、県で1番の養蜂家を目指して行きたい」と話す。
写真:蜂蜜は百花蜜。「KUNITOMI(くにとみ)」など採取した地域の名前を商品名にしている(提供=下石さん)