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和紙製造に利用 廃棄野菜や果物混合 カードなど文具に加工し販売

2026年2月1週号

越前市 株式会社五十嵐製紙 五十嵐匡美(まさみ)さん

 「和紙の可能性を知ってもらいたい」と話すのは、越前市岩本町にある株式会社五十嵐製紙の五十嵐匡美さん(53)。2020年に紙文具ブランド「Food Paper」を立ち上げ、廃棄される野菜や果物を活用している。野菜が生きた和紙は、若い女性を中心に「かわいい」と好評を得ている。
 「産地や品種によって、同じ作物でも仕上がりは変わります。その違いを個性と考え、最大限生かせるように漉(す)いています」と五十嵐さん。県内のカット野菜工場などから廃棄野菜を譲り受け、細かく砕いた後、コウゾやアサと混ぜて漉く。混ぜる割合は野菜の種類で変わり、数%から50%。昨年度に使用した廃棄野菜は1㌧を超え「これだけの量を捨てずに使えたと思うと、うれしかったです」と笑顔を見せる。野菜の廃棄削減だけでなく、和紙原料の使用量抑制にもつながっている。
 出来上がった和紙は、メッセージカードやノート、小物入れなどに加工し、販売している。受注制作も手がけており、県内からはスイセンを使用した名刺や県外の農家からはアスパラガスを原料にした名刺、果物を使った一筆箋などの依頼があった。昨年度には、全国47都道府県の農作物を使ったカルタも制作した。
 Food Paperは、19年に県が主催した「経営とブランディング講座」の最終成果発表会で誕生。五十嵐さんは「ふすま紙や壁紙としての和紙需要の減少に加え、栽培農家の高齢化などで原材料となるトロロアオイやコウゾ、ミツマタ、ガンピの確保が難しくなってきている現状に悩み、受講した」と話す。アイデアの源泉は、次男の優(ゆう)翔(と)君がさまざまな野菜で紙を漉いた自由研究だった。
 「農作物はほんの少しの理由で廃棄されてしまうことを知り、驚きました。買物での見る目も変わり、形が不ぞろいでも気にしなくなりました」と五十嵐さん。「私の知らない野菜もまだあるはず。ドラゴンフルーツなどの鮮やかな色の果物も漉いてみたいです。若い世代だけでなく、世界中の人に『面白い』と思ってもらえる商品を作っていきたいですね」と、今後について話す。(千秋)


写真①メッセージカード8種類とノート4種類を販売。「ブドウやミカン、イチゴの廃棄果物があればぜひ活用したい」と五十嵐さん

 


写真②和紙を張り合わせ、縫って作る、100%自然由来のトレーとくず入れ。(手前からミカン・ブドウ・ゴボウ)
Food Paperのウェブサイト▶Food Paper | フードペーパー